小説を読む大きな目的は「感覚の確認と発見」~ 夜を乗り越える / 又吉直樹(著)
夜を乗り越える
前回に引き続いて、芸人の又吉直樹さんの本を読んでいます。
今回は「夜を乗り越える」というエッセイ本です。
この本を読んで、小説を読む目的について考えてみました。
なぜ小説を読むのか
なぜ小説を読むのでしょうか。
小説は純粋にストーリーが面白いから読むという人がほとんどだと思います。
でも今はドラマとか映画もあるし、Youtubeで色々な動画を楽しむことができる時代です。
今の私たちの子供の世代は小説よりもYoutubeの方が身近にあるのかもしれません。
そんな時代になぜ小説が良いのか、改めて考える必要がありそうです。
感覚の確認と発見
「夜を乗り越える」の中で「なぜ本を読むのか」という章があります。
ここでいう本というのは実用書や学習書でなくて小説のことです。
又吉さんはこの中で「感覚の確認と発見」という言葉を使っています。
感覚の確認
感覚の確認というのは共感のことです。
「普段からなんとなく感じている細かい感覚や自分の中で曖昧模糊としていた感情を、文章で的確に表現された」時に、面白いと感じるそうです。
例えば、前回読んだ小説「火花」で、主人公が理屈っぽく悩んでいる気持ちに共感したことは、この感覚の確認にあたります。
感覚の発見
そしてもうひとつが「感覚の発見」です。
「共感はできないけどこんな考え方があるのか」という発見です。
火花の中で、先輩芸人神谷の、借金をしてまで後輩芸人におごる見栄っ張りな部分はちょっと理解が難しかったです。
でもこんな考え方もあるんだと思うし、人によっては共感できるのかもしれません。
共感できなくても、拒絶しないでそういった考え方もあると考えると、今までなかった視点が自分の中に増えて幅が広がります。
小説の面白いところは、色んな人の考え方や人生を体験できることになるのでしょう。
映画やドラマで疑似体験はできないの?
では映画やドラマで疑似体験はできないのか?という疑問がでてくるかもしれません。
この部分に関しては本では具体的に述べられていませんが、やはり書籍の方が登場人物に入り込みやすい気がします。
私は残念ながら「火花」の映像は観られませんでしたが、代わりに公式サイトの予告編や漫才シーンを観てみました。
漫才シーンなどの関西弁のリズム感は書籍では伝わらないので、映像が素晴らしいと思いました。
でも登場人物の疑似体験ができるかというと難しいです。
映画だと菅田将暉さんと桐谷健太さんをつい第三者目線で見てしまって、とても人物に入り込めないのです。
やっぱり疑似体験としては小説の方が良いと思いました。
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まるこ
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