香港人の特徴について5つのポイントにまとめてみました HONG KONG State of Mind – Jason Y.Ng 著
HONG KONG State of Mind
こちらの本を読みました。
HONG KONG State of Mindというタイトルです。
日本語に訳すと「香港の気分」といった意味になります。
State of Mindといえは、ビリージョエルのNew York State of Mindという名曲があります。著者はニューヨークに長く住んでいたので、書籍のタイトルもこの曲から来たのでしょう。
日本語の翻訳本は出版されていません。
アマゾンでの購入は可能ですが、Kindle版は無くて紙の書籍のみになります。
著者はJason Y.Ngというフリーのライターです。プロフィールによると香港で生まれて育った後、カナダに移住しましてその後イタリアやアメリカに長く住み、再び香港に戻って活動をしているそうです。
現在は様々なメディアで文章を発表する傍ら、As I See It というご自身のサイトで定期的にブログも書いています。
この本の面白い部分は香港を客観的に見ていることです
この本が面白いと思う理由としては、香港人でありながらも西洋諸国の生活が長いため、香港や香港人に関して客観的な視点を持っている事です。
今回はこの本にある文章から、私が香港について的確に表現していると感じた言葉を5つご紹介します。
1.私たちの変わった社会では、通った中学校がその人の背景や家計や社会的地位も現す
(原文)In our Bizarro World, which secondary school a person attends may tell you a lot about his background, pedigree and even social status.
香港では、小学校の次に通う学校が中学校になりますが、香港は中高一貫教育のシステムを採用しているので、セカンダリースクールと呼ばれています。
日本でも大学によって職業などが決まる部分は否定できませんが、中学校や高校についてはそれほど関心は持たれません。
しかし、香港ではこのセカンダリースクールがその後のその人の人生においてとても重要だというのです。
香港で社会的な地位を得るためには、名門と呼ばれているセカンダリースクールに通わないといけません。
そのため教育熱心な親は、名門校に子供を通わせるために、子供が幼稚園に入る3歳から家賃などを無理してでも学校のある地区に引っ越すそうです。
2.九龍と香港の関係はブルックリンとマンハッタンの関係と同じようなものである
(原文)Kowloon is to Hong Kong as Brooklyn is to Manhattan
私はニューヨークに行ったことが無いので、ブルックリンとマンハッタンがどのようなものかはメディアを通した情報でしかわかりません。
香港は主に香港島と九龍半島で成り立っている地域ですが、この香港島と九龍との差が昔ははっきりしてたそうです。
香港島の方が山の手エリアで九龍は郊外の地域です。
香港が中国に返還される1998年以前は、無法地帯で知られていた九龍城も存在し、九龍の繁華街も治安が悪いとの事で今と違って近寄りづらかったようです。
現在は、香港駅と九龍駅は地下鉄だとたったの一駅です。
九龍駅のショッピングセンターであるElementsには高級ブランドのお店が並び、100階以上に客室のある高級ホテルのリッツカールトンがあります。また近隣には高級マンションが並んでいます。
しかし、香港島vs九龍半島の公式は今でも続いています。 街並みも香港島と九龍半島ではやっぱり違います。
著者は香港島に住んでいるようです。
私自身は香港島でも九龍半島でもない新界と呼ばれる郊外に住んでいるので、お金持ちで羨ましいなぁと思ってしまいます。
3.香港人は自分の身体に気を使い、食べ物にも厳しい決まりを守っている
(原文)Hong Kongers genuinely treat their bodies as their temples, imposing strict quotas on some foods and avoiding others altogether.
香港人は医食同源をいつも意識しているので、食べるものにとても気を使っています。
体を温める食べ物と冷やす食べ物に関する知識も豊富です。どんなに暑い時でも、冷たいものを食べたり飲んだりしない人も多いです。
4.香港のヘルスケアシステムは完全では無いが、誰でも平等に治療を受ける事が出来る
(原文)Hong Kong’s health care is not perfect. But it delivers what the city needs and leaves no one out in the cold.
香港は自由診療の国ですが、誰でも医療を受ける事が出来ます。
お金のある人がホテルのような施設のある私立病院を受診する一方、お金の無い人は治療費がほぼ無料の公立病院を受診します。
著者は保険に入っていないと病院を受診する事すらままならないアメリカの医療システムを見てきているので、香港のこの医療システムを高く評価していますし、私もそう思います。
ちなみに私は治療費の安い公立病院をよく受診していますが、公立病院の医療以外のサービスは概して大ざっぱです。
つい先日も体調を崩して公立病院を受診した際、医師に指示されて検尿をしました。
採取したカップをナースステーションに持っていくと、なんと看護師からカウンターに置かずにそのまま持っているように指示されたのです。
看護師はカウンターの奥から検査キットを取り出して、その場で作業を開始しました。私はその間もカップを持って立ちっぱなしです。
結局検査終了後は自分でもう一度お手洗いに尿とカップを自分で捨てに行かないといけませんでした。
日本だとこんな大雑把な対応はありえません。
でも私はこんな公立病院が結構好きです。
5. 子供たちは社会的地位の低い人に対して不当な扱いをして良いと思って成長する
(原文)Children grow up thinking it’s okay to mistreat others of a lesser perceived social status.
最後にこのちょっと刺激的な言葉を紹介します。
私は香港人の事を決して嫌いではないのですが、あえて嫌な部分があるとすればこの部分です。
社会的地位の低い人の代表としては、香港で数多く働いているフィリピンやインドネシアなどなどから来ているDomestic Helperと呼ばれるお手伝いさんがあげられます。
私は何人もの香港人の子供から「お手伝いさんはバカ」といったようなかなりネガティブな発言を聞いています。
もちろんお手伝いさん自身にも問題は数多くあります。ズルをしたり、盗みを働いたりもしている人もいるのは事実です。
それでも、そういった「社会的立場の低い人を子供が平気でけなすこと」を容認しているのは大人であり香港の社会なのです。
このようなお手伝いさんにかかわらず、香港人は人をその職業やタイトルで判断して、立場の低い職業の人を邪険にする傾向が強いです。
著者は香港人でありながらも、西洋文化圏での生活を長年に渡ってしてきました。そういった場所ではアジア人である彼自身がマイノリティーとして居心地の悪い思いをしてきたのです。
そういった経験があるため、マイノリティーの人に当時の自分を重ねて憤りを感じたのだと思います。
最後に
今回初めて洋書を選びましたが、英語からしか得られない貴重な情報があるのは良いですね。
これからもら定期的に洋書を選んで読んでいこうと思っています。
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まるこ
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