職業としての小説家 / 村上春樹(著)を読んで学んだ、ブログを書く上で必要な7つのこと
作家の書くエッセイ
私は作家の書くエッセイが好きで、時にはその方の小説よりも好んで読んでいます。
今回取り上げるのは、村上春樹さんのエッセイ「職業としての小説家」です。
穏やかな語り口調で進んでいく文書に、まるで村上さん本人が語りかけてくれるような感覚になります。
7つの学んだこと
このエッセイはあくまでも小説を書くことについて書かれていますが、小説をブログと置き換えると色んな発見がありました。
この中で特に印象に残った「ブログを書く上で必要な7つのこと」をご紹介します。
1.本をたくさん読むこと
まず小説を書くうえで著者が勧めているのは、本を沢山読むことです。
”実にありきたりな答えで申し訳ないのですが、これは小説を書くための何より大事な、欠かせない訓練になると思います。”
と書いています。
良い本も悪い本もひっくるめて、どんな本でもとりあえず乱読することが大事なのです。
2.周りを注意深く観察する習慣を持つこと
次に勧めているのが、”自分が目にする事物や事象をとにかく詳細に観察して~それについてあれこれ考えをめぐらせる”ことです。
そして”素早く結論を取り出すことではなく、マテリアルをできるだけありのままに受け入れ、蓄積すること”と続いています。
3.リズミカルな文章を心がけること
村上さんのエッセイにはリズミカルな文章がたくさんあります。
例えば、小説を書こうと思いついたきっかけとなった野球の試合観戦の場面は、こんな昔のポップス音楽の歌詞のような文章で始まります。
”1978年4月のよく晴れた日の午後に、僕は神宮球場に野球を見に行きました。”
こんな文章に出会うと私は思わずうなってしまって、「物書きとして第一線で活躍している人はやっぱり違うなぁ」と思ってしまいます。
4.難しい表現は必要ないこと
本の中では、初めて小説を書いた際に、「まず英語で小説の出だしをタイプで打ってからそれを日本語に置き換える作業を行った」というエピソードが紹介されています。
英語で書こうと思うと日本語のように語彙がある訳ではないので、どうしても”余計なものを削ぎ落とす”しかなくて、そこで独自の文体を発見したというのです。
そこで得たことについてこのように書かれています。
”たとえ言葉や表現の数が限られていても、それを効果的に組み合わせることができれば、そのコンビネーションの持って行き方によって、感情表現・意思表現はけっこううまくできるものなのだ”
何も難しい表現を使う必要は無いのです。
5.何も無いことを書くこと~E.T.の道具箱
E.T.の物置を例えにした部分も絶妙です。
映画の中で、E.T.が物置にあるがらくたを適当に組み合わせて通信機などをつくるシーンが、小説と重なるというのです。
小説のネタが「がらくた」で、小説が「通信機」です。
“日常的な素朴なマテリアルしか無くても、簡単で平易な言葉しか使わなくても、もしそこに「マジック」があれば、優れた小説が書ける”というのです。
ブログを書こうとしても、どうしても特異な行動を書きたいものです。でもそんな事ばかりしていると、きっといつかはネタが尽きてしまう。
それだったら日常生活の中で起こったちょっとした気づきを書いていけば、ネタが尽きることはないのです。
6.身体が資本
身体が資本であることも大切です。
著者はマラソンが趣味で食生活にも気を遣うなど、かなり摂生した生活をしています。
自分自身も体調を崩すと良く分かるのですが、そうなると思考力も確実に落ちます。
やはり文章を書くための基礎体力が何より大事だと思うのです。
7.書き続けることが大切であること
そして最後は「書き続けること」です。
例えば小説を書くことについてはこのように書いています。
”小説をひとつ書くのはそれほどむずかしくない。
優れた小説をひとつ書くのも、人によってはそれほど難しくない。
簡単だとまでは言いませんが、できないことではありません。
しかし小説をずっと書き続けるというのはずいぶんむずかしい。
誰にもできることではない。”
小説を30年以上書き続けるというのは、並大抵のことではない。続けることが何より難しいことを改めて痛感しました。
文章を書く全ての人へのヒントになる
この本は小説だけでなくて、文章を書く全ての人のヒントになる本です。
普段はフォトリーディングで飛ばしながら本を読んでいますが、この本だけはじっくり読んでしまいました。
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まるこ
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