サヴァン症候群とアスペルガー症候群の特性を持った若者の成長の話に感動しました 〜 ぼくには数字が風景に見える/ ダニエル・タメツト著
日本の書店に行くとつい本を購入してしまいます
日本への一時帰国の時に必ず立ち寄るのが書店です。
今回書店で面白そうだと思って即購入したのが、こちらの「ぼくには数字が風景に見える」という本です。
ぼくには数字が風景に見える
著者であるダニエル・タメット氏は、サヴァン症候群とアスペルガー症候群の特性を持つロンドン生まれの言語学者です。
共感覚者といって数字に色や感情、動きを感じるため、著書によると「4は内気で物静か」「89は舞う雪のよう」なんだそうです。
また、語学の能力に長けており、10カ国語以上の言葉を操ります。
後述する「ブレインマン」というドキュメンタリー番組では、4日間のアイスランド滞在でアイスランド語を習得して現地のテレビ番組に出演するという神業を披露しています。
また、ご自身で独自の言語まで造っているというから驚きです。
TEDでご本人を確かめました
私は著者であるダニエル・タメット氏を全く知りませんでした。
書籍が「ぼく」と一人称で書かれていたので、本を読む前にご本人のイメージをまず確認しておきたいと思いました。
有名ならTEDで話しているに違いないと検索したところ、やはり話をされていました。
TEDを聴いて驚いたのが、プレゼンテーションの時に静かに淡々と話されていたことです。
私たちが想像するサヴァン症候群のイメージといえば、映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じたレイモンドという役柄です。
その為、失礼ながらこんなに普通に話をするサヴァンの方がいる事に驚きました。
サヴァン症候群の人が自らを語れることはまれ
この書籍には、著者が子供のころから現在に至るまでどのように生きてきたかについて綴られています。
実はサヴァン症候群の特性を持った人の多くは脳に損傷などがあり、重度の知的障害などを併せ持っています。
一方著者は「人の心を推し量ることが出来ない」というアスペルガー症候群の特性はあるものの、自閉症の程度としては比較的軽度です。
そのためサヴァン症候群でありながらも自分の事をきちんと語ることが出来る著者は稀なケースです。そのため研究者など各方面から引っ張りだことなっているのです。
レインマンのモデルとなったキム・ピークとの対面は動画で確認しました
テレビのドキュメンタリー番組「ブレインマン」で、アメリカ人であるキム・ピークと対面した場面について書かれています。
キムは、サヴァン症候群の特性があり、映画「レインマン」でダスティン・ホフマン演じたレイモンドのモデルとされています。
この番組は動画にも残っています。
キムとの対面の部分を抽出したものはこちらになります。
Meeting The Real Rain Man – Real Stories – YouTube
不得意なことを得意なことで補って成長していったことが素晴らしい
本全体で一番素晴らしいと思っている事は、著者が不得意なことを得意なことで補っていることです。
著者はアスペルガー症候群により他人の心が読めないため、友達もいなくてずっと一人でいました。
しかしその後得意な語学を通してリトアニアに一人で渡り、そこから少しずつ人付き合いという苦手な分野を習得していっているのです。
この本は単なる数学と語学の天才の話ではなくて、障害を持った若者が孤独の苦悩を乗り越えて成長をしていく過程を描いた素晴らしい作品です。
講談社 (2014-06-13)
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