東南アジアへの旅行前にデング熱に効果のある虫よけ成分「DEET」の安全性について調べてみました
デング熱で身近な人が亡くなりました
先日、子供の学校の友人の家で働いていたフィリピン人のお手伝いさんが、帰省先のフィリピンで急に亡くなりました。デング出血熱といって、デング熱の重症化したものです。
日本でも、同じようにフィリピンから帰国後にデング出血熱で亡くなったというニュースがありました。
デング熱発症 30代の女性死亡(2016年7月22日(金)掲載) – Yahoo!ニュース
デング熱にはDEETの成分の入った虫除けが効果的です
デング熱には、DEETという成分の入った虫除けが効果あると言われています。
DEETというのはN,N-ジエチル-m-トルアミドの略。
IUPAC名は N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミドの(N,N-Diethyl-3-methylbenzamide)というそうです。
現在の日本では、DEETの成分が12%のものしか販売が出来ません。(市販の薬では10%まで)
先日の日本経済新聞で、これをもっと濃度の高いものが販売できるようになるという記事がありました。
高濃度虫よけ、厚労省が早期審査 ジカ熱などの対策で : 日本経済新聞
これに合わせて虫除けで有名なフマキラーのウェブサイトにも、このように発表しています。
有効成分「ディート」ならびに「イカリジン」の高濃度製品の開発・販売へ。 : 最新情報 : フマキラー株式会社
香港の薬局では、子供向けの虫除けでDEETが入っているものはあまり売られていない
虫除けを買いに香港のドラッグストアに行った時のことです。
キャンプ等で使用できるアウトドア用の虫除けには、日本より多い DEET 25% のものがありました。
ただし、子供に使用できる虫除けとして販売されているものの多くがDEET FREE ( DEETが入っていない)と書いてあるものだったのです。
買ったものを並べてみました。
左から3つがイタリア製、その右がアメリカ製、一番右が香港製です。
この中でDEETが入っていたのは、アメリカ製のみで7%でした。
ちなみに家にあった、フマキラーの虫除けはDEETが10%配合されていました。
100mL中10gとわかりづらい表記です。
DEETは子供に関する使用には気を付けるようにしていましたが、香港での使用自体が制限されているのだろうかと心配になり調べてみました。
香港ではDEETの子供への使用基準は日本と同じ
香港の衛生省のサイトで、実際のDEETの使用に関する規制が無いかどうか確認をしました。
結果は、日本の厚生労働省が発表しているものとほぼ同じ内容でした。
生後6ヵ月未満 使用しない
6ヵ月~2歳 10%以内のものを1日1回まで使用可
2歳~12歳 10%以内のものを1日3回まで使用可
また、衛生省では子供への虫除けについても、以下のようなガイドラインを出しています。
- 必ず大人が虫除けをつける。子供にはさせない。
- 子供の手・目の周り・口・そして傷口にはつけない。
- スプレーよりは、塗るタイプが望ましい。
- スプレータイプを使用する時は、屋外で子供が吸い込まない様に気を付ける。
- 子供の手の届かない場所に保管
- 皮膚につける量は最低限にして、その分衣服に付ける。
- 屋内に戻ったら手を洗う
- 虫除けを付けた身体と衣服は石鹸・洗剤できちんと洗う。
Centre for Health Protection – Tips for using insect repellents
香港は日本よりDEETの危険性に関する認識が高い
少し古いデータとなりますが、国民生活センターの情報によると、DEETを口に入れたり、継続して使用することによって、血圧低下、けいれん、発疹の症状があるとのこと。
香港は、ほとんどの商品が外国からの輸入に頼っています。
それに合わせて外国からさまざまなDEETに関する危険性の情報が入っています。
そのため、香港の中ではDEETが危険だという意識が日本人より強く、その結果DEETの入った子供向けの虫除けがあまり売られていないのではないかと考えています。
結局旅行の時はDEETを使用する事にしました
デング熱やジカ熱の流行もあり、香港の衛生局でもそれらの流行している地域に行くときの対策としてDEETの使用を勧めています。
今回の旅行の際には、このようにしようと思っています。
- 子供用に日本の医療用のDEETの虫除けを使用
- 顔などは別の方法での虫除け
- 汗で虫除け効果が薄くなるため、他の方法の虫除け(パッチ・バンドなど)を併用
- ホテルの部屋ではネットがあればネット使用。
- ネットがない場合は虫除け(ベープなど)を持参して、部屋の中に蚊が入ってこない様にする。
あと、スプレーを使わない事も大事かも。
スプレータイプのものは、吸い込むリスクがある割には皮膚には思ったほど良く付きません。
ちょうど、この事について詳しく書いたサイトを見つけました。
子供への安全を気にするあまり、使用をためらっていてデング熱にかかってしまっては意味がありません。
一番大切なのは命です。
ある程度のリスクを受け入れて、必要な時には使用方法を守って使うのが一番良いのではと思っています。
最後に~それでもかかってしまった場合でも、すぐ病院に行けば死ぬことはありません
どんなに気を付けていても、デング熱にかかってしまう事はあり得ます。
でも、その場合は早いタイミング病院に行けば死ぬ病気ではありません。
そのため、旅行の際には、各自で病院の確認や、海外旅行保険などの準備も合わせて行う事が必要です。
事前に海外旅行保険に加入しておけば、キャッシュレスで受診できる病院もあるので、更に安心ですよね。
まるこ
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